2015年2月12日木曜日

投稿先の選定1

投稿先の選定


JREC-INの公募戦線で戦うこと3年、
来年度から、晴れて別のパーマネントな研究ポジションへの転出が決まりました。


長かった…


選考委員の話では、他の応募者と比べて、論文数が評価されたとのことです。


大学院4年間と、修了後1.5年の応募時の業績内訳は国際誌14報(うちFA9報、合計IF約40)です。お察しの通り、これまでの論文は、あまり深みのないもので、新規性があればとりあえず投稿してみたものです。ネイチャーやサイエンス、PNASなどの学術誌に掲載されたことはなく、インパクトファクターでいえば、全て1以上5以下といった学術誌になります。


自覚していますが、私は、いわゆる、数稼ぎの、品の無い研究者です。


もちろん、綿密に練られた論文を、良い雑誌に投稿したいというのが本音です。ただし、職が得られなければ研究を続けることもできませんので〝論文数を稼ぐ戦術〟を採ってきたわけです。良く言えば、地に足のついた論文を地道に出していった結果ですが、逆に言えば、定職につくための条件を整えるかわりに、謎を解き明かそうとする夢と信念を捨たわけです。


果たして、この戦術が良かったのかどうかは、実際にポジションについて、インパクトの高い継続性のある研究をいかに組み立てられるかにあると思いますが、やっとスタート地点に立ったというところでしょうか。


さて、ようやく本題に入っていきますが

このようなスタイルの生活を過ごしていると、インパクトはないけれど新規性のあるデータを見つけると、アーカイブ化したくなってきます。かといって、論文投稿作業で本業をおろそかにはできないので、なるべく早く、掲載までもっていきたいわけです。


慣れた信頼のあるインパクトファクター付きの学術誌に投稿するのが一番かと思いますが、投稿先を探すのにはなかなか苦戦します。そのような状況で、アブストラクトを入力すると、投稿先を自動的に選定してくれるサイトが役立つことがありあます。


(1)Elsevier Journal Finder

http://journalfinder.elsevier.com/
エルゼビア系列の雑誌内で適合雑誌を検索

(2)Jane, Journal Author Name Estimater


http://biosemantics.org/jane/


実際には、投稿先選定には様々なバイアスがかかるので、上記サイトで検索された雑誌が適合するとは限りませんが、お試しにはいいかと思います。


次いで、投稿先として選定されるのが、査読付きのオープンアクセスジャーナルになります。基本的に総合誌が多いので、前述の投稿先選定サイトではリストに出てこないことが多いです。

オープンアクセスジャーナルでは、投稿者が出版社にお金(10万以上)を払って、論文を掲載してもらう学術誌になります。カラー写真やページ数が多くても、基本的に料金が変わらない点や、ネット環境さえ整っていれば、誰でも読むことができる点は、従来の購読料支払型の雑誌より優れています。

有名なPLoS Oneや、SpringerPlus、Scientific Reportsなどの大手のオープンアクセス雑誌では、しっかりとした査読が行われますが、一部の雑誌は、でたらめな内容でも掲載し、投稿者からお金を搾取する雑誌Predatory Open Access Journalであるといわれています。論文を世に出したい科学者と、お金を必要としている出版社の利害関係が一致しているので、無くならない問題かと思います。

論文投稿料が掲載されていないオープンアクセス雑誌は問答無用に避けたほうがいいかと思いますが、出て間もない雑誌では判別がつきません。


そのような場合は、コロラド大学デンバー校のBeall氏が判断した、投稿料を搾取しているPredatory Open Access Journals のリストが参考になります。


Scholary Open Access
Beall's List ''Potential, possible, or probable predatory scholarly open access publishers''





http://scholarlyoa.com/publishers/

そもそも、聞いたことも無い歴史の浅い雑誌は避けたほうがいいのかもしれませんね





2015年2月10日火曜日

論文投稿後1

論文投稿後

Elsevier Usage Dashboardの御紹介
http://www.elsevier.com/connect/article-usage-reports-enable-authors-to-track-downloads-and-views


論文の評価は〝影響力のある雑誌に、どれくらい引用されたか〟によって決まるかと思います。

一方、引用されないまでも、どのくらいの頻度で、どのような国の人に購読されているのか、とても気になります。

購読数などに関する情報は、誰でも読めるオープンアクセス(OA)の雑誌や、所属機関によりプレスリリースが行われることにより内容がだいぶ変わってくるので、必ずしも論文のインパクトとは関連しません。しかしながら、自分が投稿した論文がたくさん読まれていると、モチベーションの向上・維持にも繋がります。

こういった出版後の論文の情報は、OA雑誌の一部では公開されていたりしますが、多くの雑誌では知ることができません。


今回、Elsevierで、面白いサービスがあったので御紹介します。


御紹介するのは、某雑誌(IF 2強)に2014年12月に投稿し、翌年の3月にアクセプトされた論文になります。オープンアクセスにもすることができる雑誌でしたが、それには$2200が別途必要ということで、予算の都合によりできませんでした。

そして、今日、コレスポに下記のようなメールが届きました。(実際には、以前からコレスポには届いてようですが…)





中段上部に、303回読まれていますと表示されています。

中段の”View Dashboard”とクリックすると、詳細をみることが出来ます。




右上には、地域別ダウンロード数、左下には、月別のダウンロード合計数(330回?303回じゃなくて?)が表示されます。


読まれている地域は、日本とアメリカが中心のようです。北米、欧州、日本に分布する病原体の近縁種の新種に関する論文なので、専門家が読んでくれたのでしょうか。


この論文は、海外研究者から最も問い合わせ(共同研究依頼や質問など)があった論文になります。購読料が発生するとはいえ、購読数は多くないようですね…お恥ずかしい…。1日に1回か…。


こんなこと気にしているくらいなら、実験して良い論文書きなさいと怒られそうです。

2015年1月29日木曜日

症例報告1


症例報告 Case Report :どこに投稿するべきか


興味深い点があった症例や、新しい知見が得られた症例を経験したら、なるべく英文で、学会誌に投稿するようにしています。

原著論文などの研究論文と並べると(研究者の業績を評価するという視点からいえば)価値が低く見られてしまう傾向がありますが、実験論文と症例報告では、報告・発表する意義が両者では異なっていると考えています。

なるべくスムーズに、かつインパクトの高い雑誌に掲載までもっていきたいわけですが、〝症例報告は受理しない〟と宣言をしている学会雑誌を多くみかけます。研究論文と比べて学問的な意義があるかないかは別にして、引用回数が少なくなりがちな症例報告を避ける理由もわからなくもありません。

最近、(APCで荒稼ぎしている)症例報告専門誌が続々と登場しています。ただ、その多くはAPCで荒稼ぎしている雑誌のようです。また、症例報告専門誌は、基本的にインパクトファクターは低めで、インパクトファクターが付与されていない、あるいはかなり低いようです。一方、殆どがオープンアクセスなので、誰でも、どこからでも読めます。後者については、知見を広めたい症例報告の意義と合致しているのかもしれません。


そんなわけで備忘録(2015.1.29現在)

※管理人は感染症専門で、人体症例と動物症例のどちらも書くのでゴチャゴチャしてます。



・BMC Case Report
http://casereports.bmj.com/
本文読むには購読が必要

感染症であれば、下記のCase Reportsとして報告したほうがいいかもしれない
BMC Infectious Diseases
http://www.biomedcentral.com/bmcinfectdis/authors/instructions/casereport
IF: 2.56

・Journal of Medical Case Reports
http://www.jmedicalcasereports.com/
IF 0.40
ヒト

・Veterinary Record Case Reports
http://vetrecordcasereports.bmj.com/
動物

・JMM Case Reports
http://jmmcr.sgmjournals.org/
ヒト/動物

・American Journal of Case Reports
http://www.amjcaserep.com/
ヒト

・Clinical Case Reports
http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1002/(ISSN)2050-0904

・Case Reports in Veterinary Medicine
ttp://www.hindawi.com/journals/crivem/
※HIndawiは少し怪しいOA雑誌

・Case Reports in Infectious Diseases
ttp://www.hindawi.com/journals/criid/
※同上

・Journal of Case Reports
ttp://www.casereports.in/
[要注意]※開いたらTrojan.Malscript
が検出されたんだけど、大丈夫か…ここ

投稿用画像の編集


論文投稿用画像の編集(Windowsの場合)

業務上、Windowsを使用していると、Windowsで、学術論文用の図を編集する必要がでてくる。投稿規程に従って解像度や大きさ(1カラム、2カラムなど)を編集するわけだが、これが意外と面倒くさい。

というわけで、解像度とサイズ調整の仕方について、備忘録


 ■環境

  1. Windows 8
  2. PowerPoint 2013


 ■事前準備

①出力した画像の解像度の変更
  1. PowerPoint(以下、PP)で作る場合、画像を出力するとデフォルトで96dpiになってしまう。多くの雑誌では、300dpi以上と指定されているため、レジストリを編集する必要がある。
  2. [スタート]→[プログラムとファイルの検索]に〝regedit〟と入力し、OK
  3. レジストリエディターから、下記のサブキーを探すHKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\15.0\PowerPoint\Options
  4. [Option]をクリック→ツールバーの[編集]→[新規作成]→[OWORD値]をクリック
  5. 名称を[ExportBitmapResolution]とし、クリック後、[編集]→[変更]
  6. [OWORD値の編集]で、[10進法]をクリックし、[値のデータ]に、必要な解像度の値を入力

②GIMPのダウンロード

  1. http://www.gimp.org/

③投稿したい雑誌の投稿規程の[Figure Guidelines]などの項目をよく読む
 
 当たり前だけど結構重要


 ■作業

  1. PPでレイアウトを作る。当然、投稿規程に従って、フォントやスケールバーなどを挿入する。
  2. PPの[名前をつけて保存]→拡張子をpdfにて保存
  3. GIMPを立ち上げ、[開く]からpdfファイルを読み込む。読み込む際に、解像度の指定が求められるので、300dpiなどと入力する。
  4. 表示された画像から[Crop Tool(下記)]を用いて、必要な領域を切り取る。
  5. [画像]から、[画像の拡大・縮小]をクリックし、投稿規程に従った画像のサイズ(1カラムか、2カラムか)にする。
  6. [ファイル]から、[エクスポート]をクリックし、拡張子をTIFFなど投稿規程に従った形式で保存する。圧縮形式は、LZWなどで問題ないと思われる。
Crop Tool

 ■参考

・PLoS
 http://www.plosone.org/static/figureInstructions

・バイオインフォマティクス入門
 http://bio-info.biz/tips/other_make_image.html
 だいぶ参考にさせていただきました。